両親や親族などから土地を相続した場合、面倒だからといってそのまま放置してしまうのは非常にもったいないです。どんな立地条件であれ、どれほどの価値であれ、土地は資産のひとつであることに変わりはないですから、それを使わない手はありません。

では、具体的にどのような対処をすれば、土地を有効活用していくことができるものなのか見ていきましょう。

相続した土地の売却には欠かせない!相続登記って一体?

相続登記
相続した土地を管理できるだけの余裕がない、所有しているのがわずらわしいと感じるようであれば、そのまま売却をしてしまうのが有効活用のための一番の近道といえます。しかし、ただ不動産屋に売りたいと申し出れば買ってもらえるというような、簡単なものではありません。

相続した土地を売却する場合は、相続登記というものが必要となります。

相続登記とは

土地の持ち主が亡くなった場合に行う、相続人への名義変更を指します。土地の所有者名義が亡くなった人のままでは、日本の法律上、売買を行うことはできません。そのため、相続した土地を自分のものにする行為として、まずは相続登記が必要となるわけです。

相続登記をする期限が設けられているわけではありませんが、相続問題のトラブルを避ける目的も兼ねて、相続することがはっきりとした段階で済ませておくことをおすすめします。

相続登記の申請方法

また、相続登記の申請方法は大きく分けて2種類あります。相続人が自分ひとりだけなら「所有権移転登記」、兄弟や親戚などといったほかの誰かと共有で相続するなら「持分移転登記」になりますから覚えておきましょう。相続登記を済ませ、土地の名義人が誰になったのかがはっきりとすることで、初めて売却ができるようになります。

ただし、複数人で共有している土地の場合は、単独の判断による売却は不可能です。

共有名義の対象である土地を全て売却するのであれば、同じ所有者全員の承諾や印鑑証明書などが必要になってきます。自分が所有している一部分だけを不動産として売りたい場合は、分筆が欠かせないので注意しておきましょう。

相続から売却までの手順を知りたい!おおまかな流れは?

遺産分割協議と相続登記

まず、土地を相続するには遺産を相続する権利のある親族が集まり、遺産分割協議をする必要があります。その協議がまとまってはじめて、故人の名義である不動産の相続登記、つまり名義変更を行えるようになります。

不動産仲介業者選び

土地の相続人が定まり、相続登記が無事に完了したら、売却のために次にやるべきなのは不動産の仲介業者選びです。業者に頼らない個人売買もできないことはありませんが、自力で買ってくれる人を探したり、書類を作成したりする必要があります。また、売買のうえでトラブルが発生した際に対応できる能力がないと、大きな損失に繋がる可能性も考えられるでしょう。そういったリスクを考えると、仲介業者に依頼をして土地の売買手続きを代行してもらうのが得策です。ただし、請け負ってくれる仲介業者ならどこでもいいというわけではありません。

複数の不動産仲介業者で見積もりを取ろう

業者によって、土地の売却価格には差が出てきます。査定基準や取引交渉の方法が業者によって異なるため、大きく差が開くことも決して珍しくはありません。だからこそ、仲介業者を決める際は慎重に検討するために、よく比較してみるべきだといえるでしょう。売却価格面を優先して考えるのであれば、あらかじめ複数の不動産仲介業者で見積もりを取って、より良い条件や査定価格を提示してくれる所にお願いするのが得策です。

土地を売りに出す

お願いする不動産仲介業者が決まったら、土地を売りに出してもらいます。立地条件が良くないと簡単には売れませんが、売却のために工夫を施していけば、絶対に難しいことでもありません。仲介業者へ助言を求めつつ、適切な売却活動を続けていきましょう。

所有権移転登記

買い手が見つかったら購入してくれた人に対し、所有権移転登記を行ってください。ここまでが、相続から売却までの基本的な流れになります。

相続した土地を売却するなら注意!税金がかかるって本当?

相続した土地を売却すれば、土地を現金に変えることができるため、お得に感じられるかもしれませんが、実は出費がかさむ部分も多いです。

特に注意しなければならないのは、土地の相続や売却にかかってくる税金になります。

相続時にかかる税金

まず、相続した時点で必ず相続税がかかります。相続する資産が多ければ多いほど税率も高くなりますが、現金を相続するよりも安く済ませられるのが特徴です。それでも、相続税を支払わなければならないことには変わりないので注意しておきましょう。

所有時にかかる税金

また、土地を売却する前、つまり所有している段階でも税金を支払わなければなりません。それは、年に4回支払う必要のある固定資産税です。住宅向けの土地であれば、軽減措置がありますが、決して安くはない金額ですから覚えておきましょう。

売却時にかかる税金

土地を売却する際には、売却成立時にかかる消費税、それから印紙税や登録免許税が必要になります。税金が土地の売却価格を上回ってしまうことはまずありませんが、ある程度の金額を引かれることはあらかじめ覚悟しておきましょう。

売却後にかかる税金

土地の売却が完了すると、売却差益、つまり土地を譲渡したことによって得たお金が所得として分類されます。そうなると、払わなければならないのが所得税と課税された住民税です。

土地の譲渡による所得税と住民税に関しては、これまで納付してきた税金とは異なる、つまり分離課税扱いになりますから注意しましょう。

売却時にかかる費用は何がある?いくら必要なの?

土地を売却するというと、現金化できるから財産として活用しやすいと思うかもしれませんが、売れば単純にそのまま売却時のお金がもらえるというわけではありません。不動産の仲介業者を利用した場合は、仲介手数料やそれにかかる消費税が必要になります。また前述したように、売却時はほかにも印紙税や登録免許税などの税金がかかりますから、十分に注意しましょう。

仲介業者に支払う手数料

具体的な金額ですが、まず不動産の仲介業者に支払う仲介手数料の場合、取引額毎に支払いの上限額が設けられています。取引額が200万円以下なら総額の5パーセント、取引額が200万円以上400万円以下なら総額の4パーセントといった具合です。区分ごとの上限額なので、該当区分に当てはまる分を支払う必要が出てきますから、取引額が大きければ大きいだけ仲介手数料も増えます。

例えば、300万円で土地が売れたとすると、まず200万円までの区分として、200万円×5パーセントの10万円、さらに200万円から400万円までの区分として、300万円×4パーセントの7万5千円が該当します。
つまり、300万円で土地を売ると最大で17万5千円の仲介手数料を支払う必要があるわけです。

また、これに別途消費税もかかるので注意しましょう。


印紙税

続いて印紙税ですが、売却の金額に応じた金額の収入印紙を、売買契約書に貼り付けることで納付します。収入印紙の金額は1万円から10万円以下なら200円、10万円から50万円以下なら400円といった具合に変動しますから覚えておきましょう。

登録免許税

登録免許税の税率は売却価格の1,000分の20となっていますが、本来なら土地の購入者が負担をする税金です。相続した土地を売却する場合は、あまり深く考えなくてもいいでしょう。

相続人が自分だけじゃなかったら… 複数人いる場合にやるべき遺産分割

兄弟や近しい親族がいないために、子どもが親からそのまま土地を相続するケースもありますが、大抵の場合は相続人が複数おり、遺産分割をする必要が出てきます。

簡単に分配するのではなく、遺産分割協議という相続人全員が集まる場を設け、決定していくのが一般的な方法です。協議で相続人全員が納得できる形で、どの資産、あるいはどれくらいの資産が誰に渡るのかを、法定相続分に基づきながら明確にしていきます。分配するのは現金だけではなく、さまざまな遺産を相続人に分けていきます。もちろん、土地に関しても例外ではありません。

いくつかの土地を所有しているようであれば、土地毎に分配していくのが通常ですが、土地がひとつしかないようであれば、現物分割という方法があります。相続人のうちひとりだけが単独で相続するケースと、土地を分割し、それぞれの相続人が単独で相続するケースです。

ほかにも、換価分割と呼ばれる分割方法もあります。最初に土地を売却してしまい、その利益を相続人で分配するという手段です。売却することに相続人全員が納得しているのであれば、この方法を取ってみてもいいでしょう。

逆に、上手く分けることができない場合は、共有財産として残しておくのもひとつの手です。しかし、この場合の土地の所有者は相続人全員ということになりますから、ひとりの判断で売却することはできません。

遺産分割協議がまとまったら、後からトラブルにならないように書面に協議内容をまとめ、決着させることが重要です。

ただし、亡くなった人、つまり被相続人が遺言書を遺しているようであれば、まずは原則的にその内容に従う必要があるので十分に注意しましょう。

売却した際の確定申告!損をしないために知っておくべきこと

相続した土地を売却したら、その翌年には確定申告をする必要があります。不動産ビジネスとまではいかないにしても、土地を売却したことによって利益を得られたことは確かですから、それを申告し、課税額を支払わなければなりません。相続した土地を売却した場合は、事業所得ではなく、譲渡所得にあたります。

確定申告の際には分離課税扱いとなるので、通常の申告書以外に、分離課税用の申告書第三表と譲渡所得の内訳書を作成してください。土地の売却でいくらもらえたのかだけではなく、売却の際にかかった費用についても記入していくことが大切です。売却のために土地の舗装や除草をしたならその施工費用、不動産の広告費や仲介手数料などは経費に該当します。

ほかにも、相続した土地を譲渡した場合は、特例で相続税の一部を不動産取得費用としてあてることが可能です。これらの項目に関しては、収益額から差し引いておかないと課税対象の金額が大きくなり、それによって税金が多くなって損をしてしまいますから、きっちり計算しておきましょう。

また、相続した土地を売った場合の譲渡所得の税率は、土地の所有者だった期間に応じて変動します。長期譲渡所得と短期譲渡所得の2種類がありますが、所有者だった期間が5年以上なら長期、5年以下なら短期扱いとなるので覚えておきましょう。

長期に渡って所有していた人のほうは税率が低めに設定されているうえに、特別控除も適用できます。正確な控除額と、控除を受けられるかどうかは土地の使い道にもよりますが、農地としてなら800万円、住宅としてなら1,500万円といった具合に高額な特別控除となっていますから、活用しない手はありません。

相続した土地をそのままにするのはあり?売却しないデメリットは?

相続した土地は相続人(相続したあなた)のものですから、必ず売却しなければならないという決まりはありませんし、どのように扱うのかは自由です。

しかし、家を建てて住んだり、アパートや駐車場を作って土地活用したりといったことをする予定ではないのなら、せっかく相続した土地をそのまま放置してしまうのは得策ではありません。

まず、所有しているだけで税金がかかってしまうという問題があります。土地を所有していると、それに対して毎年固定資産税がかかってきます。年4回に渡って支払う必要がありますし、決して安い金額だとはいえないでしょう。家が建っている場合はさらに高額にはなりますが、土地だけだとしても放置することでただ税金を払い続けることになるのは非常にもったいないです。

また、土地の状況にもよりますが、舗装されていないような土地であれば、夏には雑草が生い茂ります。見た目にも良くないですし、草花が生えることで虫も湧きやすくなるでしょう。近所に住宅があると、それによって苦情が寄せられる可能性もあります。定期的に手入れをすれば大きな問題には発展しませんが、手間がかかるというデメリットがあるので注意です。

所有している土地が自宅から近い場所ではないのなら、そこまでに行く交通費もかかってしまうでしょう。自分で土地の手入れをするのが面倒だからという理由で専門の業者に頼めば、その依頼料がかかります。

売却で失敗しないために!気をつけるべきポイントや注意点

相続した土地はそのままにしてしまうのではなく、活用か売却をするのが一般的です。使い道がない場合は、税金や手間がかかってしまうだけなので注意です。放置せず、早い段階で売却することが望ましいでしょう。

また、売却で失敗しないようにするために、払わなければならない税金や仲介業者への仲介手数料、必要な書類については、事前に把握しておくことをおすすめします。

費用の相場や遺産分割の方法について細かく知っておけば、損をするリスクを最大限に避けることができるでしょう。